鳥取県 万引き常習犯の女性(85)「窃盗症」が刑務所では治らない理由

裁判官のガベルと文字タイトル 事件

3月11日午前11時前に、鳥取県のスーパーマーケットで起きた窃盗事件。現行犯逮捕された無職の女性(85)は、これまで三度の窃盗罪の前科があり、弁護側は女性が「窃盗症」であると主張しています。今回は窃盗をくりかえしてしまう「窃盗症」についてまとめてみました。

鳥取県で起きた万引き事件

今回調べたのは、3月11日午前11時前、鳥取県内のスーパーで、窃盗罪による前科がある無職の女性(85)が現行犯逮捕された事件です。女性がおにぎりや惣菜など6点、合計1758円を支払わず店を出ようとしたところを、店内で警戒していた警察官によって逮捕されました。裁判で女性は容疑を認めつつ、窃盗の意思はなかったと供述しており、弁護側は、今回の犯行は女性の「窃盗症」によるもので、女性自身ではコントロールできないものだったと、情状酌量の余地があることを主張しています。

女性は2018年~2021年の短期間で三度、窃盗罪で逮捕されており四度目の逮捕となりました。

現在、女性は常習累犯窃盗罪という罪に問われています。弁護側が主張する「窃盗症」とは一体何なのでしょうか?

懲役刑では治らない?「窃盗症」とは

「窃盗症(別称クレプトマニア)」とは、物を盗みたいという衝動や欲求を自分の意志で制御できなくなってしまう病気で、精神疾患のひとつと言われています。窃盗をする際の、スリル、達成感や解放感が特徴的な依存症です。盗むものは、金銭的な価値や、個人の利用目的とは比較的関係がなく、盗むこと自体に意味があるとされています。

自分自身ではコントロールできない精神疾患のため、逮捕され、服役し、釈放されても繰り返してしまうのだそうです。

参考記事:医療法人社団祐和会 大石クリニック「クレプトマニア(病的窃盗)」

現在の治療方法

現在窃盗症の治療には、薬物療法のほか、精神科や心療内科での認知行動療法が中心とされています。認知行動療法は、認知(ものの見方)や行動の癖を見直し、問題やストレスへの対処方法を改善・身につけていく心理療法で、うつ病の治療などにも用いられています。治療する環境や周囲の人間の理解も必要となっており、現在一人暮らしで適切な監督者がいないとされる女性が、今回の再逮捕だけで改善するのは難しそうです。

窃盗症に苦しんだ人の声

窃盗症について調べていく中で、窃盗症と診断され、治療し、回復をした方々の体験談が掲載されたサイトを見つけました。それぞれの環境や苦しみが刻々と綴られており、読んでいて胸を締め付けられる思いでした。もし、僕自身の身近な人が苦しんでいたら、と考えさせられるような内容でしたので紹介させていただきます。ぜひ覗いてみて下さい。

参考記事:クレプトマニア(窃盗症)当事者によるサイト クレプトマニアからの脱却

まとめ

  • 鳥取県の窃盗事件で逮捕された無職の女性(85)は「窃盗症」であると弁護側が主張
  • 「窃盗症」は刑務所では治らない。精神科・心療内科での治療が必要。

検察側は、女性の供述内容と防犯カメラ映像が矛盾していること、女性が現在一人暮らしで監督者がいないことを理由に、懲役3年の実刑判決を求刑。これに対し弁護側は、女性が「窃盗症」であること、85歳の高齢であるという理由から懲役1年6ヶ月を求刑しています。この事件の判決は6月21日に言い渡されます。

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